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【坂道46小説第4話】あの世界で再び会えるなら、夏の景色を見た

第4話 ダブルターンエンド

 

確認を怠るなよ

 

こんなことは誰でも言えることだ。だが適切な時に適切な場所で使用できるかとなれば立場や状況による。

 

確認を怠るなよ

 

それはミリアが修習生時代に知り合って落第した名前も顔もおぼろげにしか思い出せないあの子の口癖だった。

 

いまは何をしているのだろう?だから、確認を怠るなよ?怠るなよ…。君が君であるのは、私が私であるのは、私が確認したからなのだろうか、たまには君の声が聞きたいものだ。

 

マイBとでも呼ぶべき物体は依然として魔導省の中枢で不気味に微笑んでいる。ミリアはようやく合点が行った。

 

「おい、そこのアンドロイド!両方だ!即自的にお前らの論理構成を確認する。繰り返しなさい」

 

「関与すべきでない事柄に継続的に調整の有無を確認しなければならない場合、そのことが有効性と実効性を持たせえるのは、私であるか、汝であるか」

 

マイAもBもしどろもどろになり答えられない。ミリアはさらに納得した。

 

「やはりな、マイBとでも呼ぶべきスクラップ君よ、君にはその資格がないんだ。資格が。認識論理コードを与えられていないね…」

 

マイBは観念したかのような表情を見せる。そこへ法務省の今泉政務官がやってくる。

 

「ほっ、ほっ、ほっ、確認を怠るなよ(笑)とはこういうことですな」

 

「今泉さん!」

 

ミリアは鋭い眼光で今泉を睨みつける。

 

「どういうことか説明を要求します」

 

矢継ぎ早にミリアは今泉を詰問する。

 

「いや実はね、この検体は…いや、この方は実は精神観応術式を用いるAIデータベースチームの魔導士なんだ」

 

…なんだって???

 

思わずミリアは内心から思考してしまう。

 

「姿かたち、それに認識的挙動が同じでもヒューマンではなく魔導士と呼べる個体が存在するのか…。いや、そもそもそれは…」

 

「要するに人種人権法を順守しましょうってことですよ。ミリアさん、あなたも魔導省所属でも法務官の端くれなんですよ」

 

今泉がそう述べ終わると、ミリアはうなだれるようにもといた部屋へと戻っていった。

 

そういえば、協会からの依頼で魔導省の嘱託スタッフを××区域〇〇地域に派遣するんだった。今回は魔法士で司法官補のレナ・ザキヤマを派遣することにしよう。今度の祀りでは裁定が必要になるだろうからな…

 

 

―おーい、おーい、琴音ちゃーん。

 

 

元気いっぱいに地域では長老と呼ばれるご夫婦が琴音ちゃんを呼んでいる。

 

「今度の祀りの主導は協会さんからの話だと琴音ちゃんにお願いするって聞いたよ。ここはどうか一つよろしく頼みますよ」

 

琴音にとっては初めての祀りの主導だ。いつもの何も変わらないかのような生活から何かが変わりそうな予感がしていた。

 

「あああああ、って言いたくなりますね」

 

琴音は長老夫婦にそう告げると、嬉しそうに空を見つめていた。

 

夏の祀りはもうすでに始まったばかりであった。