ジルさんと乃木坂46のふわふわな日々

日々の乃木坂活動のメモ書き。乃木坂46を追想します。推し箱はアンダー。推しメンの名前を私はまだ知らない…。

【坂道46小説第2話】あの世界で再び会えるなら、夏の景色を見た

第二話 旧友襲来

 

また同じことの繰り返しじゃねえかあ、使えねえなあ

 

そうミリアは新入りで後輩のマイ・サカモトに当たり散らしていた。

ミリアは20歳ながら魔導省の次席広報官に任命されたスーパーエリートだ。

 

魔導と魔導省についての詳しい説明はここでは割愛するが、魔導省はどこの国家にでもあるような法務省の外部諮問機関である。キリスト教仏教などの宗教が形骸化したあの例の時と同じくして、魔法と称する超越的論理と知性を持つ法的人格集団が瞬く間に既存の権力、権威、伝統を打ち砕いた時代の名残である。

 

マイ・サカモトは実はアンドロイド型ヒューマンだ。現代では珍しくなくなったがヒューマンという人種は魔導士が操作しなければ制御がきかない。

 

ミリアは経済法律新聞、いわゆる経法新聞を読みながら再びマイをしかりつける。

 

「いいか?もうアンドロイド型ヒューマンが必要とされる時代は終わった。

お前みたいな能無しは豚の餌になるくらいしかないんだ。ワルプルギスの夜だってもうすぐ発生するみたいだし」

 

「ワルプルギスによるとは?」

 

「だーからーそんなことも共鳴できないからお前は使えないの。分かるか豚が。」

 

ミリアは相当お怒りの様子である。

そこに法務省政務官殿が現れる。あのいまいましい今泉の野郎だ。

 

今泉は開口一番、ミリア広報官に注意をする。

 

「ミリア君、いまはヒューマンといえども人種人権法で保護されていることを、くれぐれも忘れないように」

 

ミリアはこれまたまたかよという表情でマイと一緒に部屋に戻っていった。

そして協会にさっそく電話をかける。

 

「今度のサポーターは使える奴なんだろうなあ」

 

「はい、なんでも最終口頭試験まで進んだお嬢様らしいですよ」

 

「ほーん。それならまあ期限までには間に合いそうか」

 

そんな会話を二、三続けるとマイがお味噌汁を用意していた。

 

「マイー、ここはお茶だろうがよお、データ消すぞこらぁぁ」

 

「まあまあミリア、落ち着きなさいよ」

 

はっとするミリアを通り抜けるようにマイ・サカモトと同じ顔をした若い女性が話しかける。

 

「ん?お前はヒューマン??そんな話し方ができるとは聞いてないし、えっ、そこにマイがいるからマイが2体??」

 

「私はミリアに大切なお話があってきました。法務省からの通知も承っています」

 

ミリアは茫然と立ち尽くしたまま何も言えないようであった…。続く

【坂道46小説第1話】あの世界で再び会えるなら、夏の景色を見た

西暦2XXX年、2X世紀

 

第一話 醒めない悪夢の続きは

 

XX年、5月下旬。くもり

 

―国民全員のメディア化、あるいは女性の25歳までのアイドル化、

そして道徳に代わる倫理的教育を目途とした第一次公序良俗法が施行し、

数年経ったほどの未来―

 

20世紀から続いていた警察国家あるいは福祉国家というものは、

大よそ公共精神を根底にする民主主義によって根治された。

 

共和政的存在は今もなお、戦争と資本主義とを栄華し続けている。

しかしながら我々が住む日本地域では健全な法の運営が最上だと信じて、

社会が全体の調和を図っていた。

 

ジリジリとうだるような日差しが彼女のひたいにかかる。

 

10時、未だ朝だろうか。朝の終わりの合図を示すように協会から連絡が来る。

 

暗がりの部屋から階段を降り、玄関を開けて、郵便を受け取り、急いで封を開きながら食卓の上に置いてあるオレンジジュースを飲み干す。

 

すっぱい。いや、わずかに甘いような…。

 

…琴音は今日も元気いっぱいであった。

 

―文化2年―

 

司法修習生を目指すも最終口頭試験に落ちてから数年、

琴音の毎日は退屈とも平凡とも変わらない日々だ。

 

振り返れば、遠い地域に来たものだが特に実感はない。

都会の喧騒を離れて、彼女は日課であるお気に入りのネットニュースのチェックをする。ここでは、ただ情報を集めて形にすることだけが未来への希望である。

 

そんな生活も悪くはないな

 

琴音は毎日、毎日、自分に言い聞かせるように椅子に腰かける。

 

琴音には夢があった。誰にも言えないような、誰にも話せないような小さな夢だが、数年以内、いやもう1、2年で実際に届きそうな夢であった。

 

お金と無縁の人生を歩んでみたくはありませんか?

 

ときおり、そんなキャッチフレーズが頭の中に思い浮かぶ。そもそもお金とは何のために存在しているのだろう。お金が存在していることで誰かが幸せになったりしても、私を含めてお金がないことで誰かが苦労しているのに。

 

そんな、突飛もない想像を琴音は胸にしたためながら、元気に地域の挨拶周りにでかけるのである。彼女は地域では天使のような存在だ。天然で思慮深く、微笑ましい可愛らしさがある。それでいていつも一定の努力をかかさない勉強家であった。

 

この地域は複雑な場所だ。ある人にそう教えられて琴音は地域の研究をしてみることになった。もしも時間というものがお金に換えられたら私のありあまる暇な時間を誰かに売ったりしてみるのになと思いながら地域を散策する。

 

おはようございます。いや、こんにちわ、でしたか

 

どちらかと言えば内向的なタイプの琴音はこの地域の発展と、自分の夢のための勉強のどちらを続けていくべきか迷い始めていた。

 

そこで思い返すのが3年前に起きた試験の失敗である。琴音はエリート的なコースを順風満帆に歩んできたはずであったが、学生の時に司法修習試験に落ちたことで全ての歯車が狂い、そのことから退避する目的でこの地域に来たのだ。

 

私がこの地域の慣習に関われたらいいのに

 

地域とは都会のビジネスの論理である、人、モノ、お金、情報、その他環境など、そういう包括的精神だけで成り立っているわけではない。地域には地域特有の慣習なるものが多数存在し誰もそのことを疑問にもつことすらないのだ。

 

琴音にはそのことはとても不思議に思えていた。例えば、地域のみんなが一同に踊れる場所があれば、みんなが思い思いのことをする土地ができるのに、この地域のみなさんはみんな誰かと同じことばかりをしようとしている。

 

そこにまた協会から連絡が来る。

 

―協会員に告ぐ。至急、例の本と人員を集めなさい。

 

いつもの連絡とは違った口調で、

またいつもとは違った装いの連絡者が琴音を訪れて彼女に話しかける。

 

今回のミッションは大事になりそうですよ

 

琴音は夏の、祀りの訪れを予感していた。

 

始まりの日などは存在しない。この地域はただ昔からあるように存在している。

そのことがいまいち良く分からないのは、夏の終わりが来るかどうかだと聞く。

 

琴音はそのことを理解すると、さっそく準備に取り掛かったのだ。